最近、若い女性に人気のある爬虫類にヒョモントカゲモドキがいます。
当院にもこのヒョウモントカゲモドキが来院されることが増えています。
成体になりますと20〜25cmの全長になり、地上性ヤモリの中では大型腫です。
今回、ご紹介させていただくのは胃内出血の症例です。
ハイイエローという品種で背部表面のきれいな黄色が特徴です。
まだ生後4カ月の幼体ですが、皮膚が非常に薄く外貌から腹部に内出血があるとのことで来院されました。
ヒョウモントカゲモドキの餌は一般に動物性蛋白質として生きたコオロギを与えます。
生餌はチョットという飼い主は冷凍のコオロギを利用することもあります。
やはり。生餌の方が食いつきは良いようです。
今回のような幼体ではコオロギを丸呑みこみした後で,体の内部を咬まれてしまうことがあります。
ヒョウモントカゲモドキによらず、他のトカゲでもいわゆるマウスロットと呼ばれる口腔内の生餌による受傷で食欲不振に至るケースは多いです。
口腔内ならまだしも、食道や胃内で咬まれては辛いところです。
この幼体もどうやらコオロギを飲み込んでから出血が生じたようです。
コオロギも生命力が強い個体だったのか、この幼体の胃の消化力が弱かったのでしょう。
胃粘膜を保護するH2ブロッカーと抗生剤、止血剤の投薬で完治しました。
話は変わりますが、ヒョウモントカゲモドキに限らず、爬虫類はクリプトスポリジウム(原虫)の媒介をするという報告があります。
最近では住宅の貯水槽にいるクリプトスポリジウムが水を飲んだ住人に下痢を起こした例もあります。
水系感染症の病原体として重要視されている原虫です。
そういった点から、現在は要注意外来生物にヒョウモントカゲモドキは指定されています。
飼育上の衛生管理にはお気を付け下さい。