フェレットのリンパ腫
2012-03-17 17:09
有限会社もねペットクリニック
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第3次フェレットブームもそろそろ終焉を迎えているのかもしれません。

2005年あたりの、いわゆる第2次フェレットブームの頃は当院のフェレットの患者数は猫を追い抜き、第2位でした。

それが、2012年に入りますと当院では犬に次いでウサギが第2位、猫が第3位、その後にフェレットが第4位といったところです。

フェレットは、純粋な肉食獣ではあるけど、寝起きはボサーとしていたり、おもちゃ(貴金属類)を当人しか知らない秘密の場所に隠したりといたずらっ子のような行動が、愛くるしく個人的に大好きです。





しかしながら、フェレットの宿命というべきか、3歳くらいまでは元気はつらつが、4歳以降になると副腎腫瘍やインシュリノーマ、リンパ腫になって、治療に専念します。

終生にわたる投薬が必要な場合もあります。

それでも残念ながら助けられず、悲しいお別れをすることになることも多いです。

その後、フェレットは中高年以降に腫瘍の罹患率が高いことが世間的にも認知され、思いのほか治療費がかかり致命率も高いため、2代目、3代目のフェレットを飼われる愛好家の方は明らかに減少しています。





今回、ご紹介するのはリンパ腫のフェレットです。

生後9カ月にして、腹部の腫れに気付いて来院されました。

触診してみますと銀杏の実が2つ分ほどの大きさの腫瘤が認められました。

早速、レントゲン撮影をしました。





黄色く丸をつけたところに大きなマス(腫瘤)があります。

腫瘍の可能性も高く、本人も嘔吐が続くため、試験的切開を実施しました。




腸管が発赤し、表面が凸凹し腸壁は肥厚してます。

加えて腸間膜リンパ節の腫張も認められました。

見た感じが腸腺癌ではなくリンパ腫の可能性が高く、リンパ節を細胞診をした結果が以下の通りです。





結局、消化器型のリンパ腫であることが判明しました。

フェレットの消化器型リンパ腫は発生頻度は少ないのですが、悪性が多いとされます。

今回のリンパ腫は特に癒着が著しく、小腸の広範囲に腫瘍が広がっていますので手術が困難で、内科的療法で治療することとなりました。

フェレットのリンパ腫はこの消化器型の他、多中心型リンパ腫、縦隔型リンパ腫等に分類されます。

治療法として完全寛解を目標にするなら、多剤併用の化学療法を実施します。

これは犬猫のリンパ腫と同じです。

経済的な理由で多剤耐性の化学療法が出来ない場合は、ステロイド療法を選択することもあります。

今回はステロイド療法を飼い主様が希望され、投薬2週目にして、触診しても腹部の腫瘤は認められませんでした。

リンパ腫は比較的よくステロイドに反応しますが、免疫力も抑制するので投薬量のチェックはかかせません。

今後、終息したかにみえても再発を繰り返す可能性が高いです。

治療をしなければ、腸壁に穴があき内容物が漏れて腹膜炎をひきおこすか、腸壁が肥厚して腸閉塞に至ることもあります。

フェレットのリンパ腫の原因は不明な点が多く、現在ではウィルス感染の関与が示唆されています。



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