こんにちは 院長の伊藤です。
現在、当院のホームページのリニューアルのためコンテンツを大幅に見直しています。
そのため、記事の更新が遅れがちになっておりますことお詫び申し上げます。
年内には今まで以上のホームページに仕上げますので、宜しくお願い致します。
さて、本日ご紹介しますのはシマリスの脛骨骨折です。
シマリスは動きが俊敏でケージ内を飛び回りますので、診察で捕捉するのも大変です。
シマリスのコウ君(推定4か月齢、雄)はケージのスノコ内に脚をひっかけたのか、右後肢を伸展しているとのことで来院されました。
右後肢がだらんと力を入れられない状態にあります(下写真黄色矢印)。
触診すると右後肢から軋轢音があり、骨折しているようです。
早速、レントゲン撮影をしました。
暴れると骨折部の骨折端が皮膚を突き破って、開放骨折に至りますので軽く麻酔をかけます。
レントゲンの結果です。
黄色矢印が示すように脛骨骨幹部が斜骨折しています。
小型齧歯類の骨折では、一般に注射針を骨髄ピンとして骨折部整復に使用することが多いです。
その点では、小型愛玩鳥の骨折整復と同じですね。
全身麻酔下で骨折整復を行うこととなりました。
犬用マスクでイソフルランによる導入麻酔をします。
維持麻酔に切り替え、患部を剃毛します。
仕上げはカミソリで剃毛します。
脛骨骨折のため、骨髄の出血が皮下に貯留し始めており、皮膚が青紫色に変わってます。
25G 1・1/2という若干長めの注射針を骨髄ピンとして使用します。
骨髄内にうまく注射針を入れていきます。
これの操作は指先の感覚で進めていきます。
針の骨髄内を通過する抵抗感や皮質骨に針が当たる感覚で、針が骨髄内に上手く入ったかを確認します。
下写真は骨折部を指先で左右に振動させ、安定感があるか否かを確認しています。
骨折時はブラブラだった患部がしっかり動揺していない状態になっています。
ここで針の基部をニッパーで離断します。
骨折整復が成功しているか、レントゲン撮影をします。
骨髄内にしっかり注射針は入っています。
骨癒合後にピンを抜去するためにピンの挿入端をペンチで曲げます。
これで、手術は終了です。
犬猫の骨折整復手術と比べて、骨折部を観血的にメスで切開して整復しませんので、骨癒合も早く3週間ほどで完治します。
皮下にリンゲル液を輸液します。
患部を齧らないようにエリザベスカラーを麻酔覚醒前に装着します。
麻酔から目覚めたコウ君です。
完全に覚醒しますとコウ君はそれまで3本足でほこうし