グリーンイグアナの尻尾切断
2016-07-21 10:13
有限会社もねペットクリニック
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こんにちは 院長の伊藤です。

手術ラッシュもやっと落ち着きましたので、ブログに割く時間が取れるようになりました。

本日ご紹介しますのは、グリーンイグアナの尻尾の障害です。

グリーンイグアナは尻尾が非常に長く、特に室内ではドアに挟んだりして外傷を受けるケースが多いです。



グリーンイグアナのエレン君(性別不明、2歳)は尻尾をドアで挟み、ブラブラになっているとのことで来院されました。



下写真は尻尾の障害部です。

皮膚および尻尾の筋肉は断裂しており、離断筋肉の一部は外部に突出しています。

見るからに痛々しい状態ですね。



レントゲン撮影をしました。

体幹部の障害はないようです。





次に尻尾の画像です。

下写真の黄色丸はドアで挟まれた部位です。



患部を拡大しますと尾椎の中央部に近い所(黄色矢印)で骨折しています。



今回のような骨折に加えて、周囲組織の激しい挫滅を伴うケースは、尾椎を離断します。

飼い主様のご了解を頂き、エレン君の尻尾を離断する手術を実施しました。

ガスマスクで導入麻酔をかけます。



イソフルランの匂いに反応してエレン君は暴れましたが、次第に麻酔が効き始めます。





患部を消毒します。





グリーンイグアナは強靭な尻尾を持ち、この尻尾の一撃を食らうだけでも、それなりのダメージは覚悟しなくてはなりません。

それを裏付けるような、太い立派な尻尾の筋肉です。



骨は完全に骨折しているのをレントゲンで確認していますので、バイポーラ(電気メス)を用いて止血・離断をします。



尻尾の筋肉のみで繋がっている状態でした。



筋肉を離断して、断尾完了です。



離断した尻尾です。



次に離断した尻尾の断端を処置します。

骨折している尾椎の関節部までをロンジュールで切除します。



尻尾には太い血管が走っていますので、尾椎骨を一つ外すだけでも出血が始まります。



再度、バイポーラで止血します。



止血が完了し、創部のトリミングが完了しました。



次に皮膚を縫合します。









縫合はこれで終了です。



覚醒後に尻尾を振って創部が開くのを防ぐため、瞬間接着剤で縫合部を保護します。



グリーンイグアナの全身麻酔は麻酔深度調整が難しいです。

短時間の手術でも覚醒に非常に時間がかかったり、発情期にあってはどれだけ麻酔量を増やしてもかかりません。

今回のエレン君は、その点難しいことなく麻酔導入・維持・覚醒に至ることが出来ました。



術後でまだ麻酔が抜け切れてないエレン君です。







少しずつ意識が戻ってきました。





意識が戻ると突然走り出したりするため、しっかり保定します。



覚醒後のエレン君ですが、歩行はしっかりしており麻酔による問題はなさそうです。



下写真黄色丸が切断した尻尾です。



術後の経過もよく、エレン君は当日退院して頂きました。

術後二週間の患部です。

問題なく皮膚も癒合してます。



抜糸しています。



患部が無事、治っているか確認するまで爬虫類の外傷は油断できません。



最後に飼主様とのツーショットです。

エレン君、お疲れ様でした!

グリーンイグアナを飼育されている飼主様、くれぐれもドアを閉めるときはご注意ください。




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