キンクマハムスターは個人的に一番好きな品種です。
性格も温厚で今まで飼育してきて、ハズレ(?)たことがありません。
今回ご紹介するのはキンクマハムスターのチップ君です。
頚腹部に3cmあまりもの巨大な腫瘍ができまして、他院からの紹介で受診されました。
抗がん作用のあるサプリメント等で対応していたのですが、腫瘍がいよいよ大きくなり、外科手術でいくか、このまま内科的治療で行くか、飼い主様が悩まれてのことでした。
かかりつけの病院では腫瘍の細胞診では形質細胞腫とのことでした。
この形質細胞腫は良性腫瘍ですが、増大の進行が早く日常生活に支障があるとのことです。
チップ君の全身状態は良好で手術にも十分耐えられると判断し、手術を実施しました。
写真でお分かりのようにかなり大きな腫瘍です。
ハムスターの手術でいつも気にするのは麻酔の時間です。
犬に比べてその肺活量は微々たるもので、換気不全に陥ればあっという間に死んでしまいます。
したがって手術時間は15~20分内に終了するように心がけています。
加えて腫瘍摘出時は出血が伴いますので、極力止血を優先しながらの手術となります。
今回は、久々の大きな腫瘍でしたが、チップ君の回復も良好で術後の出血もありませんでした。
下の写真は術後30分のものです。
摘出した腫瘍は病理検査したところ、悪性のリンパ腫であることが判明しました。
細胞診と病理検査では結果が異なり、この悪性リンパ腫とチップ君は今後も戦っていかなくてはなりません。
今回は顎下腺から下顎リンパ節、腋下リンパ節にかけて増殖した悪性リンパ腫の合体したものです。
将来的に他のリンパ節への病巣拡大の可能性もあります。
形質細胞腫であれば、これでスッキリできたところですが再発がないことを祈りつつ、抗がん作用のサプリメントを続行していただく予定です。
最後にチップ君の病理標本像(弱拡大&強拡大)を載せます。
大小不同のリンパ芽球(青く染まった細胞)が増殖しています。
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