こんにちは 院長の伊藤です。
ハムスターは特に小さなお子さんのいる家庭で、飼育されるケースが多いです。
ご両親がお子さんの教育(動物の飼育指導)も兼ねていると思われます。
そんなハムスターですが、ペットショップで販売される個体については、生後1か月満たないものもあり、飼主様が購入されてすぐに体調不良で来院される症例も多いです。
本日、ご紹介しますのはキンクマハムスターの内部寄生虫疾患です。
キンクマハムスターのモコ君(2か月齢、雄)は購入してまもなく軟便、下痢が続くとのことで来院されました。
ゴールデンハムスターは、体調不良になると眼を閉じて沈鬱な表情を浮かべる個体が多いです。
モカ君は診察中ずっと眼を閉じて猫背の姿勢のままです。
下写真の様に軟便が肛門に付着しています(黄色丸)。
下痢をしているとのことで、まずは検便です。
動画を乗せられないのが残念ですが、活動性のある多数の原虫が群れを成しています。
高倍率の顕微鏡写真です。
木の葉が舞うような動きをしているこの原虫は、ジアルジアと呼ばれます。
ジアルジアは腸粘膜に吸着し、障害を与え、消化器症状(下痢)を引き起こします。
このジアルジアは栄養体のステージにあります。
モカ君はまだ2か月という幼体ですから、免疫力も弱く今回のようなジアルジアの多数寄生では、下痢に至るのも無理ありません。
特に幼体が下痢を起こすとすぐに脱水状態に陥ります。
脱水を改善するために皮下にリンゲル液を輸液します。
このジアルジアの駆除にはメトロニダゾールという薬を使用します。
この薬は非常に苦く不味いようで、ハムスターはじめとして動物には不評のようです。
ブドウ糖も混ぜて、飲みやすくしたものを内服して頂いてます。
下写真はその投薬しているところです。
飼い主のお兄ちゃんも心配しています。
モカ君、早く治って下さいね!
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