こんにちは 院長の伊藤です。
本日ご紹介しますのは、オカメインコの下嘴再建術です。
愛玩鳥は何らかの原因で嘴が破損して、採食不能になる場合があります。
鳥にとって、一日でも採食できなければ直接死につながります。
必然的に餌がついばむことが出来るように、嘴を整形外科的に再建する必要があります。
本日はそんなケース事例です。
オカメインコのサンタ君(性別不明、年齢不明)はペットショップから飼主様が譲り受けた子です。
譲り受けた時点から下嘴に問題があり、大きな種などは採食することが出来ないとのことで来院されました。
皆さん、上の2枚の写真から異常事態がお分かり頂けるでしょうか?
下嘴を見上げる形で写した写真を載せます。
下嘴の中央部がすでに欠損しており、両サイドに残った嘴で辛うじて採食しているといった状態です。
この欠損している下嘴の中央部を人工の素材で補てんする必要があります。
歯科用ポリカルボキシレートセメントを欠損部に塗り込んで強度的に使えるか見てみました。
まずは上嘴が伸びすぎて、下嘴を貫いていますのでカットします。
次にセメント剤を塗り込みます。
歯科用ユニットで風を送り込んで硬化を促します。
硬化する前にサンタ君は暴れてしまい、両サイドの下嘴が何度も可動によりぶつかり合って、セメント剤だけの架橋は無理でした。
方法を変えて、下嘴をステンレスワイヤーで固定した上で、セメント剤で補てんする方法にトライすることとしました。
23Gの注射針の中にステンレスワイヤーを通して、下嘴を注射針で貫通します。
貫通した側のワイヤーを鉗子で把持して、注射針を反対側に引き抜きます。
残ったワイヤーで下嘴を締結します。
下嘴の中央部欠損が大きく、ワイヤー締結しても隙間が生じます。
この部位にセメントを補てんしていきます。
今度はしっかり、セメントも硬化して下嘴が強化されました。
この処置でサンタ君がしっかり、硬い餌も採食できるかを経過観察していきます。
サンタ君、疲れ果てた顔をしていますがお疲れ様でした!
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