フェレットを日常的に診察してますとこの脊索腫に遭遇することがあります。
尻尾の先端にできものが出てきたら、この脊索腫を疑います。
脊索とは胎生期に体を支える支柱として現れて、脊椎骨として発展していく過程で退化し、出生後は椎間板の髄核として痕跡が残る組織を指して言います。
脊索腫は出生後に椎間板の髄核として遺残した脊索から発生する悪性腫瘍を言います。
ヒト・ミンク・フェレット・ラット・マウス等に発症例の報告はされていますが、フェレット以外の動物ではヒトを含めて非常に稀だそうです。
下の写真は来院されたフェレット君ですが、尾端部の腫瘍がお分かり頂けると思います。
脊索腫は局所での侵襲性が高くて、発生した部位で確実に周辺の正常組織を破壊して増殖していきます。
一般にフェレットの脊索腫の治療については、尾端の脊索腫は十分なマージンを2〜3椎体分を取って切除すれば、再発・転移は認められず完治すると考えられています。
このフェレット君も切除後は再発も無く、きれいに治りました。