犬の変形性関節症
2014-09-10 17:52
有限会社もねペットクリニック
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こんにちは 院長の伊藤です。

当院の看板犬のベティ(ゴールデンレトリバー)も今月で13歳になりました。

大型犬の13歳はヒトの年齢に換算すると96歳位になるそうです。

この数か月前から後肢の歩様も千鳥足っぽくなり、運動するのを避ける傾向が出てきてます。

大型犬は特に10歳を過ぎると後肢の筋力低下が著しくなりますね。

ペットの高齢化が進む中、整形外科的な問題は必然的に現れてきます。




本日、ご紹介させて頂きますのは犬の変形性関節症です。

以前、猫の変形性関節症についてはこちらでコメントさせて頂きました。

シェルティのトランプ君(13歳4か月、去勢済)は左前肢を拳上させて、痛そうにしているとのことで来院されました。



トランプ君の左前肢を触診したところ、肘の関節が腫脹していること、肘関節の可動域が限られてスムーズな運動が出来ていないことが判明しました。







早速、レントゲン撮影しました。

写真黄色丸は左前肢の肘関節です。

右肘関節との違いがお分かりいただけますか?



下は拡大した写真です。

黄色丸で囲んだ部分が、凸凹の形状の増生した骨組織(骨棘)が認められます。



下は側臥状態の写真です。



肘関節を拡大したのが下の写真です。




上腕骨滑車を中心に関節軟骨が摩耗して、変形が起こり骨棘(こつきょく)が形成されています。

骨棘については、こちらを参考にして下さい。



トランプ君の場合は、変形性関節症といわれる年齢と共に関節軟骨が摩耗して、関節の形が変わったりする疾病です。

変形性関節症の関節内はクッションのような働きをする関節軟骨の減少に伴って、関節運動の度に骨同志がぶつかる現象が起きています。

その結果として、関節が熱感を帯びたり、腫脹して関節の可動域が狭くなったりします。

当然、疼痛感も伴いますので関節を動かすことが辛くなってきます。

この変形性関節症は進行性の疾病ですから、早期発見・早期治療で関節症の進行を抑えていく必要があります。



疼痛の軽減、患肢の機能回復、関節軟骨の再生を治療の目標とします。

疼痛管理のために非ステロイド系消炎剤を投与します。

患肢の機能回復のためには、専門的なリハビリ運動を必要とします。

関節軟骨の再生のためには、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、亜鉛、銅等を含むサプリメントで補っていきます。

特に肥満の犬の場合は、必ず関節障害が絡んできます。

肥満であることが運動量の減少につながりますので、さらに肥満に拍車をかけていきます。

したがって、ダイエット計画を立てたうえで変形関節症の治療プログラムを作る必要があります。


今回、トランプ君はスリムな体型のため、ダイエット計画は不要で先に挙げた3つの目標をクリアできるよう努力して頂きます。



変形性関節症は8歳以上で発症率が高い点、歩き方がぎこちない、関節部を触ろうとすると怒るといった症状から見つかることが多いです。

高齢犬を飼育されている飼主様、お散歩の時に一度ワンちゃんの歩行の仕方をよく観察して下さいね。






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