最近は暖かい日が続いて過ごしやすくなってきました。
今回、ご紹介しますのはデグーマウスの低温火傷です。
もう2か月前の話になりますが、季節柄早めにご紹介させて頂きます。
デグーマウスの
はるまき君(3歳、雄)はペニスが茶色くなったとのことで来院されました。
患部を拡大した写真です。
よくよくみると包皮自体が変性壊死を起こしているようです(下写真矢印)。
どの程度、壊死層が進行しているか鉗子で患部を剥離検査します。
包皮先端部の壊死があり、包皮内のペニスは大丈夫のようです。
ではなぜ、このような状態に陥ったかということですが、保温用に使用していたペットヒーターが原因のようです。
今までいろんな動物種の低温火傷をご報告させていただきましたが、床面との接触が一番ある箇所が当たり前のことながら火傷をします。
ただ場所が場所だけに、排尿障害を起こして尿毒症になったり、敗血症に及んだりするケースがありますので要注意です。
特に陰部周辺は小型齧歯類は口が届くことが多いため、自傷行為が慢性化する場合もあります。
はるまき君の患部を洗浄消毒して、患部に抗生剤軟膏を塗布しました。
患部の消毒と抗生剤の処方をして経過を見ていくことにしました。
患部をテープなどで保護すること自体が出来ませんので、非常に悩ましい症例ですが、はるまき君は食欲不振もあるのでエリザベスカラーで自傷を防ぐことは止めました。
しかし、1週間ほどして飼主様からはるまき君が逝去されたとの連絡をいただきました。
恐らくは、先の述べた火傷から全身に菌が回って敗血症になられたのか、排尿障害からの尿毒症が原因かと思われました。
力及ばず、残念な結果でした。
これからは暖かい季節になりますが、ペットの飼育環境で疾病につながる原因のあるものは十分吟味して、設置して下さい。
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