土地柄もあるのか、野鳥を保護して治療を依頼されるケースがよくあります。
本日ご紹介しますのは、ヒヨドリの成鳥です。
よくあるケースですが、ガラスに正面衝突して意識障害で治療することとなりました。
連れてこられた時は、ぐったりしており眼も虚ろで、当然自力で起立も不可能でした。
体をまずは温めるためインキュベーター(恒温槽)にいれ、ショック状態から低体温症になっている体を温めます。
少し、体を動かせるようになったので全身チェックします。
左眼がおそらく衝突時の衝撃で眼球内出血を起こしています。
翼の骨折・脱臼を確認します。
幸いなことに翼も肢の関節も可動域に問題はなく、骨折・脱臼はしていません。
ショック状態を改善させるためにステロイドの注射を施しました。
再度、インキュベーターに戻して経過を観察します。
そのうち、意識レベルも正常に戻り暴れ始めます。
衝突事故からの立ち直りの速さは、さすが野鳥だなと思います。
血便を多量にし始めました。
骨格の問題はクリアできていても内臓を強打したかもしれません。
抗生剤と止血剤を投薬しました。
そのうちにこのヒヨドリ君は元気が出てきて、インキュベーター内で大暴れし始めます。
羽ばたきも正常なので、いつまでも保護するよりは早く自然に戻した方が良いと判断して外に出します。
ベティとのお別れのツーショットです。
ヒヨドリ君は何事もなっかたの様に、自然に飛んで電線に止まり、その後空に向かって羽ばたいていきました。
ガラスが非常にきれいだったりすると勘違いして突っ込んでくる野鳥は意外と多いです。
高度をとって飛んでいたりすると突入速度が半端じゃなく、頸椎骨折や翼・肢の骨折・脱臼に簡単になってしまいます。
愛玩鳥のようにしっかりと時間をかけ治療を施せると良いのですが、ストレスや給餌の問題が複雑に絡んできますので、ポイントを押さえた治療を心がけています。
治療の対象が野鳥なので、治療して自然に戻してあげられれば良いのですが、治療不可能なケースの場合はやむなく安楽死処置が必要となります。
今回のヒヨドリ君は無事戻せて良かったです。
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