これまでエキゾチックアニマル、特に爬虫類の代謝性骨疾患(Metabolic Bone Disease)について何件もコメントさせて頂きました。
その詳細は当院HPの検索窓から
代謝性骨疾患とキーワードを入力して検索してみて下さい。
今回は、両生類のベルツノガエルの代謝性骨疾患について報告させて頂きます。
ベルツノガエル君(名前はない、性別不明、3歳)は約1年くらい前から口が開かなくなり、自身で採食が出来ないとのことで来院されました。
当然のことながら、この1年間は飼主様が強制的に口が開いてるわずかな隙間から餌を流し込んで給餌をしていたそうです。
口のわずかな隙間を狙って鉗子で開口を試みましたが、非常に開口は困難を極めます。
顎の骨を骨折したら大変なので、顎関節を確認するためにレントゲン撮影を実施しました。
顎関節の脱臼や骨折は認められませんでした。
神経学的な問題は小さな両生類なので確認は難しいです。
骨全体の骨密度が低いように思えます。
代謝性骨疾患とは、骨を形成する上で必要なカルシウム・リン・ビタミンD・紫外線等の不足によって、骨の成長不全や低カルシウム血症を起こす疾患です。
成長期に栄養学的にバランスの悪い食餌を与え続けていると発症するケースが多いです。
特にカルシウムが低くリンが高い含有率のコオロギやミルワームを中心の食餌を続けているとなります。
代謝性骨疾患が進行しますと四肢の骨が変形したり、顎の骨が柔らかくなって餌が取れなくなります。
このベルツノガエル君は飼育当初からコオロギが主食であったとのことから、代謝性骨疾患の結果、顎の骨組織が脆弱になって開口不全に至ったのではないかと思われます。
治療法としては、カルシウムやビタミンDの投薬・紫外線ランプ照射で対応します。
ベルツノガエル君自身は食欲があるようなんですが、うまく開口できないという可哀そうな状況にあります。
飼い主様の介護があって命をつないでいるわけなので、1日も早く治って開口して欲しい所です。
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