ハリネズミがペットとして市場に流通してから10年以上経過しています。
最近は若い女性がハリネズミを診てほしいと来院されるケースが増えています。
ハリネズミの体表の背側は被毛が変化した針が見られ、脇腹から腹側にかけては柔らかく細い被毛が生えています。
針は総数で約5,000本といわれ、約2〜3cmの長さです。
針は自在に可動して逆立てると様々な角度で互いに重なり合い支えあいます。
その様はイガグリのようです。
ハリネズミは警戒心が強く、診察台の上では緊張する上にすぐ丸くなり、保定することもままなりません。
丸くなって防御体制に移るとどの方向からもアプローチが困難になります。
細かな検査が極めて困難な動物です。
幼体の頃からスキンシップを重ねてヒトの手にある程度慣れさせる必要があります。
今回ご紹介させていただくのは、ダニの感染症です。
当院で初診で来院されて、まず発見するのが皮膚に食いつくダニ(ヒゼンダニ、キュウセンダニ)です。
皮膚病変として、鱗屑、落屑、発疹、発赤、痒みが認められる。
下の写真は健常なハリネズミです。
皮膚の状態は極めて良好です。
次の写真はダニの感染を受けたハリネズミです。
皮膚が発赤、鱗屑、落屑が認められます。
診察台に落ちた落屑をセロテープに貼りつけ顕微鏡でみますと下の写真のようにヒゼンダニが多数認められました。
治療法としてはイベルメクチンという駆虫剤を一週間ほど内服してダニを殺滅します。
ダニがいなくなると皮膚のコンデションも短期間で良好に回復します。