久々にヘビの症例報告です。
本日ご紹介しますのは、ミドリニシキヘビ(旧和名:グリーンパイソン)です。
ミドリニシキヘビのアルちゃん(性別不明、1歳未満)は口から涎がたくさん出て食欲不振とのことで来院されました。
ミドリニシキヘビはインドネシア・オーストラリア・パプアニューギニアに棲息する全長2mを超えるヘビです。
特に口内は細長い牙が多数並び、獲物の鳥類の羽毛に邪魔されずに口で咬みつけるようになっているのが特徴です。
熱帯雨林の樹上で生活し、夜行性で夜は獲物を求めて地上に降りたりするそうです。
爬虫類で口内炎を起こしている場合は、大量の流涎が認められます。
下写真、アルちゃんの口からの溢れ出ている涎がお分かり頂けると思います。
早速、アルちゃんの口を開けて確認してみました。
下写真の黄色丸は口蓋部に付着している膿です。
この膿をしっかり摘出しておかないと口内炎は完治しません。
下写真黄色矢印は摘出した膿の塊です。
こんな感じで口腔内の膿を全部摘出しましたのが下写真です。
この膿を染色して顕微鏡で確認しました。
アルちゃんの口腔粘膜の上皮細胞が剥離しているのが認められます(黄色丸)。
別のアングルでは、レンガをばらけたように多数の細菌が認められます。
飼い主様の稟告から、マウス等の餌を食べた後に口の中を傷つけ、そこから細菌が侵入して口内炎を引き起こしたものと考えられます。
いわゆるマウスロットと言われる症状です。
治療法は、まず口腔内の膿を一掃して炎症部を外用薬で消毒します。
場合のよっては、口の中を流水でしっかり洗い流したりします。
下写真は、口腔内を希釈したイソジンで消毒しているところです。
一旦これで口腔内の消毒は終了です。
アルちゃんはかなりお疲れの表情です。
高度の口内炎のため水も満足に飲めない状態なので、抗生剤の注射を行いました。
翌日、アルちゃんは口腔内消毒のため来院されました。
口の中は昨日と比べて非常にすっきり綺麗になりました。
まだ唾液の分泌量は多いけどいい感じになってきました。
ミドリニシキヘビは気性が比較的荒く、この細かな牙で咬まれるとそれなりのダメージを受けます。
アルちゃんは非常に性格が穏やかな個体なので治療をする上では幸いでした。
非常に鮮やかなグリーンでいかにも東南アジア産のヘビと言う感じで魅かれるものがあります。
下写真は治療後3日目のアルちゃんです。
さらに口の中は綺麗になりました。
でも食欲はまだありません。
抗生剤の内服は可能になりましたので、しばらくは自宅で治療を継続して頂くこととしました。
アルちゃん、お疲れ様でした!
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