私の経験上、ウサギの外部寄生虫感染症で一番多いのはツメダニ等の疥癬です。
しかし、先日珍しくノミ感染症のウサギが来院されました。
本日はウサギのノミ感染症をご紹介します。
イングリッシュ・アンゴラの
もな 君(6歳、雄)は背中の被毛が脱毛し、痒がるとのことで来院されました。
ご覧のとおり、アンゴラは長毛種で良く見ないと頭がどちらかわからないくらい被毛で覆われています。
まず背中を診てみますと下写真の様に黒い粉が大量に皮膚に付着しています。
これは何かといいうとノミの糞です。
実際、被毛を選り分けているときに何匹かのノミが皮膚を走っていくのを発見しました。
残念ながら、あまりにノミの動きが速すぎて写真を撮ることができませんでした。
ノミの喰いつかれて吸血される痒みで、一生懸命患部を肢で掻いたり、舐めているようです。
当然のことながら、脱毛のエリアも広がっているようです。
ノミの駆除に関しては、当院ではレボルーション?を試用しています。
フロントライン?は、ウサギの使用は禁忌です。
副作用で重篤な状態になる恐れがあります。
もな君に早速、レボルーション?を塗布しました。
加えてノミアレルギー皮膚炎を起こしていますので、ステロイドの内服を処方しました。
もな君のご自宅には、他に猫を飼っているそうなので、おそらくその猫からの感染と思われます。
ウサギへの感染は殆どが猫ノミです。
加えて犬のノミ感染も70%が猫ノミと言われています。
ノミが、皮膚から吸血する際に自身の唾液を、宿主の皮膚に入れます。
この唾液を異種蛋白として、宿主は認識します。
次にノミに咬まれると、アレルギー反応が稼働して、初回以上の痒みが増強されます。
結果として、ノミアレルギー症を発症してしまいます。
もな君の場合は、被毛が毛玉を形成して通気性が悪くなっており、ノミにとってはさらに繁殖しやすい環境にあったのでしょう。
まめなブラッシングも重要なポイントです。
飼育環境下で潜伏しているノミもいるかもしれませんので、定期的にノミ予防を実施した方が良いです。
もな君、お疲れ様でした。
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