キンクマハムスターの
くろちゃんは、右脇腹に腫瘤が出来て大きくなってきているとのことで来院されました。
ハムスターの皮下腫瘍は非常に多いのですが、今回のくろちゃんの腫瘤は内部がチーズ様を呈しています。
おそらくこのチーズ様の部分は皮下膿瘍と思いますが、腫瘤すべてが膿瘍というわけでなく、他に腫瘍が控えているかもしれません。
細胞診の結果では、好中球が大部分を占め、これに多数の細菌が認められました。
下写真は低倍&高倍の顕微鏡写真です。
飼い主様のご意向も併せて、手術による摘出を実施することとしました。
下写真は患部を電気メスで切除しているところです。
患部を綺麗に洗浄しています。
特に大きな出血もなく患部摘出は完了しました。
患部をしっかり縫合して手術は終了です。
摘出した腫瘤は殆どが膿瘍で一部肉芽腫が認められました。
恐らくは、腋下の外傷から雑菌が入り込んで化膿し、その個所を修復するため肉芽組織が形成されたものと思われます。
術後のくろちゃんです。
術後2週間後に抜糸で来院されたくろちゃんです。
黄色丸の部分は一部瘡蓋(かさぶたが残っていますが、綺麗に皮膚は癒合しています。
膿瘍を針で穿刺して、洗浄消毒・抗生剤の投与という方法もあります。
おそらく犬猫ではその治療法を選択します。
しかし、小型齧歯類の場合は患部を自分で齧ってさらに傷を深くするケースが多いです。
手術で患部ごと摘出してしまう方が、結果的には短期間で患部を治癒させることが可能です。
しかし、患部がどんどん大きくなってから外科的に摘出するのは、動物自身に負担をかけますから、少しでも小さな腫瘤に気づいたら受診して下さいね。
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