今回は、犬の歯の病気の中でも日常的にデンタルケアを怠りその結果、歯石が歯根部まで侵入しておこる根尖周囲病巣について紹介します。
特に上顎第4前臼歯と呼ばれる歯根が3本ある立派な前臼歯の根尖周囲病巣は病巣部のたまった膿などが、排出される行き場がなくて、眼の下あたりの皮膚にろう管を生じて、眼下が腫れあがり皮膚から膿がだらだら出はじめます。
この疾病は初期のステージでは、抗生剤の投与で眼下の腫れも治まるのですが、その後何度も再発を重ねることとなります。
結局、完治させるには残念ながら抜歯しかありません。
下の写真はこの上顎根尖周囲病巣をもったダックス君の抜歯の模様です。
歯がかなり痛いようで、食欲も無く眼下の排膿で皮膚がただれ始めていました。
麻酔を施し、歯根が3本ありますので2本と1本に歯根をダイヤモンドラウンドバーで切断します。
その後、歯槽骨をトリミングして歯肉を縫合して終了です。
この抜歯処置後は、眼下の腫れも無くなり食欲も元に戻られました。
動物の歯科ではまだ人のように差し歯やブリッジのような手法は出来ませんので、やはり日常のデンタルケアをしっかり実践していただきたく思います。