ウサギの角膜閉鎖症は結膜が異常に伸張して、角膜を覆う疾病です。
結膜はほぼ全周にわたり末梢に向かって伸張して、角膜露出部分は徐々に狭くなります。
通常、結膜は異常伸張するのみで角膜に癒着はしていないが、まれに結膜と角膜が部分的に癒着する例もあります。
今回、ご紹介するウサギ君は両眼とも角膜閉鎖症になっており、特に右側は伸張角膜の結膜への部分癒着が認められました。
実はこの角膜閉鎖症の報告はあまり多くありません。
しかも、原因は不明とされています。
解剖学的および発生学的見地から眼瞼の先天的な欠陥が仮定される説や既往の感染症・外傷に起因する説あるいはコラーゲンの形成異常という説もあります。
いづれにせよ本人は視覚障害や眼脂・充血といった結膜炎症状をともなっておりますので、全身麻酔下で伸展した結膜を切除しました。
角膜と伸展結膜の癒着部分は、角膜に軽度の炎症をもたらしましたが、術後10日目の右目の状態が以下の写真です。
経過も良好で、眼もバッチリ見えてます。