愛玩鳥の骨折は、日常的に遭遇することが多いです。
本日、ご紹介するのは骨折の部位が非常に悩ましい症例です。
サザナミインコのラムちゃんは肢を鳥かごのケージに引っ掛けてしまったようで、肢を拳上するとのことで来院されました。
よく診ますと、右足を床面に付けるのが辛いようでわずかに拳上していました。
骨折の可能性もあって、レントゲン撮影を実施しました。
上写真の黄色丸にありますように、大腿骨と脛骨を連結している靭帯が断裂し、加えて大腿骨遠位端が割れています。
一般には、脛骨骨折や中足骨骨折は発症率が高いのですが、ラムちゃんのようなケースは初めての経験です。
鳥の骨折は、注射針を骨髄ピンの代わりに用いて骨折部を固定する方法やあるいは副木とテーピングを併用して骨折部を固定する方法を採ることが多いです。
今回は大腿骨と脛骨を注射針で固定してしまうと、関節が不動化することで、健常な反対側との肢とのバランスが取れずに止まり木に停まった状態から餌を摂ることが出来なくなります。
止まり木に止まることもストレスになるかもしれません。
結局、患部に副木を当ててテーピングを行いました。
偽関節が形成され、将来ある程度の関節が稼働してくれたらと思います。
鳥は2本肢で全体重を支え、加えて止まり木に多くの時間停まっていますので、肢が使えなくなると言いうことは、場合によっては
死に結びつくこともあります。
今後の経過観察が重要なラムちゃんです。
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