フェレットにも歯石が付着します。
歯石による疾病(歯周病)は犬猫同様生じます。
以前、
犬の第4前臼歯根尖周囲病巣についてコメントさせて頂きました。
歯の並び方を表記したものを歯列といいます。
動物種によって、この歯列は異なります。
永久歯は犬は42本、猫は30本になります。
一方、フェレットは切歯が上下左右3本、犬歯が上下左右1本、前臼歯が上下左右3本、後臼歯が上顎に1本づつ、下顎に左右2本づつで合計34本あります。
本日ご紹介するフェレットのライム君は、右眼の下が腫れているとのことで来院されました。
黄色矢印の部分ですが、触診では中に波動感のある腫れを感じます。
口腔内を診たところ、歯石が予想以上に付着していましたので、この右眼下の腫れも前臼歯の根尖周囲の炎症で膿が溜まっているものと推察されました。
レントゲン撮影を実施しました。
黄色丸の箇所が、第2前臼歯の根尖周囲に骨吸収像が認められました。
早速、歯石除去と第2前臼歯抜歯を行うことになりました。
気管挿管を施し、全身麻酔下で右眼下の腫瘤に注射針で穿刺しました。
しっかり膿が貯留していました。
次に超音波スケーラーで歯石除去します。
右上顎第2前臼歯は下写真の様に歯石除去後、すでに歯髄(歯の中)まで茶褐色に変色しており、歯髄炎になっていました。
この第2前臼歯を抜歯するために、ダイアモンドバーで歯根部を分割します。
分割した第2前臼歯をエレベーターで脱臼させ、抜歯します。
抜歯後に歯根部があった部位から膿が流れ出てきました。
ライム君は体重がわずか850gしかない小さな体です。
本日の処置は本人にとっても辛かったと思いますが、よく頑張ってくれました。
ライム君は5歳になりますが、この年齢になりますと歯石が高度に付着する個体に遭遇します。
歯周病はフェレットにも犬猫にも生じます。
常日頃のデンタルケアを心がけていただきたいと切望します。
実年齢よりもとても若く見えるライム君でした。
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