犬の子宮蓄膿症については、以前にコメントさせて頂きました。
その一方で、猫の子宮蓄膿症については比較的遭遇するケースは少なく思います。
今回ご紹介しますのは、この猫の子宮蓄膿症です。
7歳になる猫のひめちゃんは、陰部から膿が持続的に出てくるとのことで来院されました。
過去に一度、帝王切開を他院にて受けたとのことです。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
ウグイス色の矢印は膀胱を表します。
黄色丸は膀胱の上に乗りかかるような感じで膀胱よりも大きな臓器が認められます。
これが子宮で、一般に健康な犬猫の子宮はレントゲン上に写ることはありません。
子宮内に何かが貯留してそのコントラストでレントゲン上に描出されるわけです。
子宮蓄膿症は犬の疾病の項で詳しく述べましたが、全身性の感染症とみるべきで、緊急の対応が必要です。
ひめちゃんの子宮摘出手術を実施しました。
開腹と同時にかなり腫大した子宮が飛び出してきました。
卵巣動脈をバイクランプでシーリングしているところです。
黄色矢印が膿で腫大した子宮です。
昔の帝王切開時の事と思われますが、子宮頚部と膀胱が癒着して剥がすのが大変でした。
子宮頚部を結紮してます。
これが摘出した子宮です。
子宮口が解放しているタイプの子宮蓄膿症で、少量ながら持続的に排膿していたため思いのほか大きくはありませんでした。
ひめちゃんは術後の経過も良好で、元気に退院されました。
何度も申し上げていますが、やはり早期の避妊手術を受けていただき、このような産科疾患にかからないよう予防して頂きたいものです。
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