外に自由に行き来する飼い猫は、野良猫との接触もあるため、いわゆる外部寄生虫の感染する機会も多いと言えます。
外部寄生虫の中でも、疥癬(ダニ)感染症は多く、顔面や耳介部の激しい痒みを伴います。
今回、ご紹介いたしますのは、猫小穿孔疥癬虫(ねこしょうせんこうかいせんちゅう)の感染例です。
むっとした表情のナナちゃんですが、いつも自由に外を闊歩する猫です。
この2週間ほど、顔面から耳介部にかけて非常に痒がるとのことで来院されました。
耳介部の内面も背面も瘡蓋(かさぶた)が出来ています。
黄色丸の部分は皮膚が凸凹の形状をしており、場所によっては藤壺のようになっています。
顔面にしても、痒みのため爪でひっかいて出血しています。
早速、皮膚をメスの刃で掻把して顕微鏡で検査しました。
上の写真に認められるのが猫小穿孔疥癬虫です。
この疥癬は猫の表皮に孔を開け、角質にトンネルを作ってそこに産卵します。
生存期間は3〜4週間で、宿主から離れると数日で死亡すると言われています。
治療法としては、イベルメクチンの皮下注を10日間隔で2回に分けて実施します。
なぜ2回の注射が必要かと申しますと1回目の注射で親ダニは死滅しますが、卵に関してダメージを与えられないため、卵が孵化する頃を狙って2回目の注射をするということです。
寄生虫感染は世代をバトンタッチさせないことが治療の重要なポイントと言えます。
猫疥癬症にかかるとこんなに顔が引掻いて酷くなることに驚かれた方は
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