グリーンイグアナの直腸脱については、以前コメントさせていただきました。
先回の直腸脱は脱出の状態が重度であり、外科手術が必要な症例でした。
今回は、どちらかというと鳥類の総排泄腔脱(直腸脱)の処置に近い軽度な症例です。
今回のグリーンイグアナ君は、数日前から直腸脱を認め当院を受診されました。
黄色矢印で示した部分が脱出した直腸です。
すでにチョコレート色になっていますが、これは床面との摩擦で出血があり、加えて直腸脱出の時間の経過もあり、直腸の浮腫も進行した結果(黄色丸内)です。
早速、患部を綺麗に洗浄します。
浮腫を起こしている部位にブドウ糖液を十分にかけます(下写真)。
これは、ブドウ糖が高張液のため、浸透圧差を利用して浮腫を少しでも改善するための処置です。
脱出直腸が少しでも小さくなってくれたら、整復の可能性は高くなります。
ナメクジに塩をかけるのと同じ原理と思って下さい。
注射筒を用いてやさしく脱出直腸を元の位置に整復します。
無事、直腸を整復できました。
しかし、これだけでは腹圧がかかると再脱出する恐れがあります。
総排泄腔(肛門)の両端に縫合糸で1,2針縫って、少々肛門に絞りを加えます。
黄色丸内が縫合した部位です。
注射筒を抜いて、再脱出のないことを確認して終了です。
処置後のグリーンイグアナ君は、心なしお尻が気になるようでへっぴり腰な格好です。
この状態で経過を観察し、1週間以内に縫合糸を抜糸します。
下の写真は6日後に再診でみえたグリーンイグアナ君です。
縫合した肛門周囲も異常がなく、直腸の再脱出もなかったそうです。
早速、縫合糸を抜糸します。
抜糸直後、かなり暴れましたが、特に直腸は脱出もなく落ち着いた感じです。
その後も経過は良好で、整復処置は成功です。
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