先日、ミニチュアダックス君の歯石除去の依頼がりました。
日常的にデンタルケアができるワンちゃんであれば、そんなに心配されることはありませんが、全く口の中を触らせてくれない子もいます。
ガムや硬いものを進んで咬む傾向のあるワンちゃんなら、比較的歯は綺麗と思いますが何年も全くデンタルケアをしていないとすれば、おそらく歯の大部分は歯石がこびりついてることと思います。
本日ご紹介するダックス君は、今年10歳になりますが一度もデンタルケアというものを施していなかったそうです。
口の中の匂いが強烈なのでまずは歯石の除去をお勧めしました。
加えて右の眼の下が腫れているとのことで、おそらくは
第4前臼歯の根尖周囲病巣も絡んでいるのではと推察されました。
下の写真は全身麻酔をかけたところです。
口の中を拝見しますと黄色の矢印で示す部分に歯石がびっしりついています。
従来通りの超音波スケーラーで歯石を破砕していきますが、歯根部が腐ってグラグラになっている歯も認められました。
さらに第4前臼歯の根尖周囲病巣もレントゲンで事前に確認していましたので、こちらも歯根部を分割して抜歯します。
分割した歯根部から膿が出てきました。
ロンジュールを用いて抜歯窩周囲の骨をトリミングします。
この段階ですでに何本も抜歯を実施しており、抜歯窩が何ヶ所も認められます。
抜歯した後の歯肉を縫合糸で縫合します(黄色の丸で囲んだ部分)。
最終的に抜歯したのは、切歯、前臼歯など含めて18本に及びました。
歯石を除去することで、両隣りの歯に対してかすがいの様に支持していた歯石がなくなり、加えて歯根部は根尖周囲病巣でもあって、歯槽骨が融解するのを防ぐため、抜歯は避けられないこととなりました。
動物の場合、抜歯後は差し歯やブリッジ等の手法は採れませんので、ない歯はないままで今後、対応して頂くこととなります。
このダックス君にしてもまだ10歳であと何年も残った歯で頑張っていただかなくてはなりません。
歯の痛みは飼主様も案外気づかれずに何年も経過していることが多いです。
常日頃のデンタルケアの重要性をご理解いただけたら嬉しい限りです。
半年に一度は歯科健診を受けられることをお勧めします。
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