梅雨に入り、毎日蒸し蒸した日々が続きますね。
季節的にこの時期は、カビ(真菌)の感染症が多いです。
今回ご紹介するのは、この真菌に感染して広い範囲に脱毛を生じたデグーマウス君です。
黄色い丸の部分に著しい脱毛が認められます。
皮膚糸状菌は、皮膚のケラチンを好むため皮膚角質層や被毛に寄生して病変を作ります。
皮膚の損傷部分から侵入した菌は増殖しながら、皮膚の病変を引き起こして間もなく毛包に達します。
菌の侵襲を受けた被毛は、脆くなって皮膚表面付近でちぎれたり、脱毛したりして真菌症に特徴的な
円形病巣を作ります。
いわゆる10円ハゲですね。
毛深い動物ではバリカンで患部を剃毛してはじめて、円形の脱毛が分かる場合もあります。
診断としては、患部の被毛を採取して直接顕微鏡で真菌の確認をしたり、下の写真にあるように真菌の培養を実施して確認をします。
向かって左側の黄色い培地は真菌陰性もので、右側の紅い培地は真菌陽性です。
真菌は増殖が細菌に比べて非常にゆっくりなので、培地の培養に最長2週間かかります。
その間、あまり積極的な治療に踏み込めないのが残念です。
またこの真菌は人畜共通伝染病の一つであり、人にも感染する場合があります。
したがって、しっかり完治するまで治療することをお勧めします。
治療薬として、グリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコナゾール等があります。
治療期間が6〜10週間と長い期間投薬が必要なのが困ったところです。
はやく真菌症を直して、デグーマウス君にふさふさの被毛が生えることを祈念いたします。
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