デグーマウスは以前から人気がある小型げっ歯類です。
彼らの特徴は非常に聡明で社会的な行動を取る点にあります。
鳴き声をうまく使い分けて仲間とコミュニケーションを取ります。
棒などの道具を使って餌を引き寄せるといった行動もとります。
原産がチリの山脈地帯ということから、「アンデスの歌うネズミ」と呼ばれています。
そんな学習能力の高いデグーマウスですが、この品種独特の疾病があります。
最近、特にデグーマウスの幼体で白内障にかかっているケースが非常に多いと感じます。
今回はこのデグーマウスの白内障についてです。
デグーは以前から
糖の代謝能力が低い と言われていました。
つまりは、糖を分解する能力が弱いと解釈されているわけですが、実際は
インシュリンの分泌能・活性能が低く て体内に過剰に入ってきた糖を貯蔵することが苦手な動物ということです。
デグーの属する齧歯類の亜目は他の哺乳類と比較して
インシュリンの活性が1〜10%しか持っていない そうです。
ですから、ハムスターと比較して同じ糖分を摂取したとしても、分泌されるインシュリンが同じ量であったとしてもブドウ糖をグリコーゲンに還元する能力が10分の1くらいしかないから、すぐに高血糖になってしまうのです。
もともとデグーの分布するアンデス山脈が食料の豊富にある地帯ではなく、むしろ飢餓との戦いのような状況にあると思われます。
そんな中で血糖値を下げるインシュリンの必要性はあまりなかったのではないでしょうか?
常時粗食に耐えて生きてきたデグーがペットとして飼育されたところに、ある意味不幸な部分が表在化したようです。
ペットを飼育するうえで、デグーに限らず犬猫でも私たちが飼主様にいつも注意している、過剰な嗜好品の供給があります。
チモシーなどの粗食に耐えていけるデグーですが、飼主様がサツマイモやリンゴ等といった糖分を含んだ嗜好品を与えてしまいがちです。
結果として、糖尿病を招いてしまいます。
糖尿病を背景にして白内障の発症が起こります。
日常の診察でデグーで白内障の幼体を診るにつけ、絶対に
甘みのある根菜類や果実や人のおやつ等は与えないでいただきたい と強く訴えます。
幼体で糖尿病や白内障とこの先何年も戦っていかなくてはならないのはとても辛いことですね。
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