ウサギには犬猫のように足の裏に肉球がありません。
足裏の被毛がクッションの代わりを果たしています。
加えて、多くの哺乳類と異なって足首の関節から下を床面に着けて全体重を支えるという特徴があります。
通常、野生のウサギは地面で生活をしており、適度な運動を行うことで足裏にかかる圧力は随時変化します。
一方、ペットとして飼育されているウサギは、室内ケージの平坦で硬い床材の上で一日の大半を過ごすこととなります。
当然、ウサギの足裏は床面の圧迫を受けて、足底面の皮膚と骨組織との間に血行の循環不全を招きます。
その結果、最悪の場合、足裏が虚血性壊死を起こしてしまいます。
この症状を称して、ウサギのソアホック(足底皮膚炎)と言います。
下の写真は、両側の足裏がソアホックになっているウサギ君です。
黄色の円で示している部分が、足底部の皮膚炎を起こしています。
通常、足裏の脱毛に始まり皮膚病変は紅斑、びらん、潰瘍へと進行します。
上の写真は別件のウサギ君です。
本人も患部を気にして後ろ足を拳上したり、前足に体重をかけるしぐさをしていました。
次の写真は、さらにソアホックが進行した症例です。
患部の潰瘍に加えて、細菌感染が深部に及び膿瘍を形成しています。
さらに進行しますと骨髄炎や滑膜炎となり、浅指屈筋腱が機能しなくなると歩行すらできなくなります。
治療としては、患部の徹底した洗浄と湿潤療法を実施します。
特に患部の創傷管理のためにドレッシングを行います。
潰瘍部に肉芽組織増殖促進するクリームを塗布し、ドレッシング材としてハイドロサイトやメロリン等で被覆した後、弾性粘着テープでガードします。
ソアホックはそのステージによりますが、治療には1か月から数か月に及ぶことも多いです。
患部の治療だけでなく、飼育環境の改善が重要です。
凹凸のある床材や低反発マットあるいはウサギ用に考案された足底皮膚炎予防マットを利用し、足裏にかかる圧力を拡散・低減させてください。
加えて、運動不足で肥満のウサギはダイエットも考慮してください。
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