ハムスターは頬袋を持っており、この頬袋に食料を入れて巣に運び貯蔵するという習性を持っています。
この袋は伸展性に富んでおり、食料を詰め込むと肩甲骨に達するところまで伸びることもあります。
単独生活をするゴールデンハムスター等は、頬袋に食料を入れたままにしておくことはありません。
しかし、集団で生活するジャンガリアンハムスターは袋に食料を貯め込む傾向が強いといわれます。
まして、ペットとして飼育される場合、おやつ等嗜好性の高い食料を与えますと、他のハムスターに取られたくなくて長期にわたって袋に食料が入れっぱなしということがあります。
そんな頬袋ですが、たくさん食料を詰め込んで吐き出す際に頬袋が反転して外に脱出してしまう事があります。
これを頬袋脱出(頬袋の反転)と呼びます。
頬袋脱出の発見・治療が早期であれば、綿棒などを用いて元の頬の内側へ戻すことが可能です。
上の写真で黄色の円で囲った部分が頬袋です。
まだ脱出したばかりで、袋の傷もありません。
袋自体が脱出することで血行障害を起こしている場合もあり、袋の組織に水が溜まる(浮腫)があれば、20%ブドウ糖で浮腫を取り除きます。
次に綿棒を用いて元の位置に袋を戻しました。
赤の矢印の方向に綿棒で袋を押し込みます。
結果として、きれいに袋は整復しました。
その後の再脱出もありません。
次に別のジャンガリアンハムスターですが、頬袋脱出してから時間がたっており、袋自体にも傷があり、炎症・壊死が認められる状態ですと対応が変わってきます。
黄色い丸の頬袋は長期脱出により、袋の炎症、硬化がおこっていました。
整復処置の効果もないと判断し、外科的に切除することとします。
切除後の頬袋はまた再生されて、機能します。
口の中から何か飛び出していると気づかれましたら、お早めに受診下さい。
小さな動物ですから、できうる限り体に負担のかからない対応をしたいですね。
頬袋脱出、痛そうと思われた方は
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