新米獣医師カーリーのつぶやき-part72~薬のお話し(ステロイド)~-
2016-08-09 09:43
有限会社もねペットクリニック
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こんにちは、獣医師の苅谷です。

今年の夏の甲子園も開幕しましたね。

私の母校も県ベスト4で甲子園まであと少しで残念でしたが、県代表となった高校には頑張ってもらいたいところです。





今回はステロイド剤についてお話します。

ステロイド剤、ステロイド剤とよく耳にすることがありますが、主に副腎皮質ホルモン剤のことを示します。

そもそも副腎皮質ホルモンの体内での主だった役割は

1.炎症の制御

2.炭水化物の代謝

3.タンパク質の異化

4.免疫の制御

5.血液中の電解質の制御

となります。

私たちが薬として使用する場合、主に炎症の制御や免疫の制御において使用していきます。

副腎皮質ホルモンの中でも糖質コルチコイドやその誘導物が使用されます。

いわゆる皮膚の痒みや神経系の炎症、炎症性腸疾患や免疫介在性貧血といった自己免疫疾患、悪性腫瘍などに適応されます。

またステロイド剤といってもその構造によって作用時間や強さに違いがあります。

作用時間や強さは薬の半減期、つまり体の中から薬の作用が薄くなっていく時間が影響し、それにより以下の三段階に分類されます。

短時間作用型、中時間作用型、長時間作用型に分類されます。

加えて薬によって炎症の制御に対して効果が強いのか、電解質の制御に対して効果が強いのかに違いがあります。

短時間作用型の場合、体に対する影響を与える時間は短いですが、炎症に対しては効果弱い、電解質に対する効果が強いです。

そのため、痒みといった炎症の制御に関しては適応されないです。

中時間作用型になってくると短時間作用型に比べ、炎症に対する効果が強くなり、電解質に対する効果が弱くなっています。

一番汎用されるステロイド剤はこのタイプになります。

長時間作用型になってくると炎症に対する効果はかなり強くなり、電解質に対する効果はほとんどなくなりますが、その分体に長時間作用するため内分泌に影響が出やすいです。

このタイプは長期間のステロイド剤の使用により体に耐性ができ始めた場合や浮腫など電解質への影響を出したくない場合に使用します。





さてステロイド剤は効果が現れ始めるまでの時間が比較的短く、ある程度の効果が認められるため、汎用されやすい薬なのですが、やはり気になるものは副作用ですね。

服用し始めてすぐに出てくる影響としては多飲多尿、肝酵素の上昇、自前の副腎皮質ホルモンの産生抑制、筋力の低下が挙げられます。

また長期間服用していると・・・

免疫力が低下し、感染症に罹りやすくなったり、脂肪が蓄積しやすかったり、皮膚が弱くなったり、脱毛してしまったりetc...と色々とあります。

どうしてもステロイド剤を服用しなければならない病気というものはどちらかというと一生付き合っていかないといけない病気が多いです。

そのため、全身への影響を抑えるため、痒みであれば外用薬で持って行ったり、自己免疫疾患であれば免疫抑制剤を使用したりします。

しかし、それらにも一長一短あり、外用薬だと塗った部分を気になって舐めてしまい逆に悪化させたり、免疫抑制剤の場合、服用し始めてから薬の効果が出るまで時間がかかってしまうため、その隙間をステロイド剤の併用で持っていく必要があります。

ステロイド剤は副作用の面が取り上げられることが多いですが、上手く使用すれば、多大な治療効果は認められます。

そのため、ステロイド剤の投薬は用法や用量を守っていきましょう。

今回は以上で終わります。

もしよろしければ



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