新米獣医師カーリーのつぶやき-part62~体重減少?~-
2016-02-11 12:20
有限会社もねペットクリニック
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こんにちは、獣医師の苅谷です。

長年使用してきた眼鏡が壊れたため、新しい眼鏡を買いに行ってきました。

結構久々の買い替えだったので気に入ったものの値段を見てみると少しびっくりしました。





今回は体重減少をしている中で食欲がないよという場合についてお話しします。

まず初めに挙げるものは全身性の炎症を伴う疾患です。

全身性の炎症を伴う疾患は感染性とそれ以外の非感染性に分けられます。

まず感染性のものでは細菌やウイルス、真菌やリケッチア、加えて原虫などの寄生虫が挙げられます。

インフルエンザやQ熱などといった感染症になるとウイルスといった病原体を排除しようと体が発熱し、白血球による免疫活動が活発になります。

この時、体は病原体排除の方向にエネルギーを割いていくため、それ以外の部分である、消化吸収の機能が正常時より落ちてしまいます。

消化吸収の機能が低下してくると腸の蠕動も弱まってくるため、食欲が低下し取り入れるエネルギー量も減少します。

加えて病原体排除のために発熱をしてエネルギー消費量が上昇することが相まって、どんどんと体重が減少していきます。

非感染性のものには自己免疫性疾患や腫瘍といったものが挙げられます。

自己免疫性疾患は白血球といった免疫細胞が細菌やウイルスなどの病原体と同じように敵として認識してしまい、自分の細胞・組織を壊してしまう病気です。

この病気には免疫細胞が赤血球を壊してしまう免疫介在性溶血性貧血(IMHA)やお腹の中の腸の組織を免疫細胞が攻撃してしまう炎症性腸疾患(IBD)といったものがあります。

こちらも自分の組織を敵と誤認識した白血球が排除を行うため発熱が起こり、消化力が低下していくため、食欲不振、体重減少となっていきます。

腫瘍に関しては前回もお話ししましたが、できた部位や腫瘍が周りの組織を侵していくかによって食欲不振がともなってくるかどうかが変わってきます。

次に挙げられるものは嘔吐や痛みを伴う下痢などの消化器症状です。

慢性胃炎や膵炎などが挙げられます。

嘔吐や下痢を繰り返していくと胃や小腸、大腸の粘膜がぼろぼろとなってしまい痛みが生じ、体液の喪失も伴うため、脱水になってゆき、食欲不振、ぐったりしてきてしまいます。

また、異物を誤飲することにより嘔吐をすることも知られていますが、大きさや形によっては、腸を傷つけてしまったり、腸を閉塞させてしまったりして食欲不振、ぐったりといった症状は急激に進んできます。





次にあげるものは代謝性の疾患です。

一つに副腎皮質機能低下症(アジソン病)という内分泌の疾患です。

これは副腎から分泌されるアルドステロンやコルチゾールといった副腎皮質ホルモンが足りなくなって引き起こります。

副腎皮質ホルモンは体内の代謝の調整や電解質の調整、免疫の制御や炎症の制御など体の広範囲にわたり作用しております。

そのためこのホルモンが足りなくなってくると体の中で生命活動の不具合が出てくることとなり、その一端として食欲不振や体重減少が認められることとなります。

また、前回も登場した糖尿病も症状が進んで来ると血液が酸性に傾くケトアシドーシスになってしまうため食欲不振も伴います。

最後に食欲不振が伴う体重減少の一つとして様々なストレスによる影響が挙げられます。

ストレスは環境の変化などにより、身体的・精神的に体にかかってきます。

体にストレスがかかってくると体の中では交感神経が優位になってきます。

交感神経が優位になってくると消化器の運動、胃や腸の運動は抑えられてしまうため、食欲不振に陥っていきます。

この状態が続くとどんどんと体重も減少していきます。

また、ストレスがきっかけとなって下痢といった消化器症状になったり、IBDといった自己免疫性疾患の引き金になることもあります。

食欲不振や体重減少はいろいろな病気の一症状で出てくることが多いものですが、見逃せない異常を警告するシグナルです。

特にいつも食事をすることが大好きだったこが食欲が落ちてきたとなると何かしらの問題があることが多いので注意が必要ですね。

今回は以上で終わります。

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