こんにちは、獣医師の苅谷です。
最近、使用している音楽プレイヤーの電池の減りが早いなと思って購入した時期を思い返してみたら・・・
3年間くらい使用していたので、やはり電話を含めた携帯機器の電池の持ちは大体2〜3年くらいなんだなと思いました。
ということで次の音楽プレイヤーを購入して、現在データの移行や各種の設定中です。
今回は尿検査についてお話しします。
尿検査では試験紙を使って行う検査と直接顕微鏡を覗いて内容物を確認する検査があります。
まず試験紙による検査についてです。
項目としては以上となります。
ウロビリノーゲン・・・肝臓や胆汁の排泄に問題、赤血球が多量に壊される病気が
あるかをみる項目。 正常でも少し尿中に排泄される。
亜硝酸塩・・・尿中で細菌が増殖しているかをみる項目。 正常では尿中排泄なし。
ビリルビン・・・ウロビリノーゲンと同様の項目を見る項目。
正常では尿中排泄なし。
ケトン体・・・脂質の代謝が活発になっているかを見る項目。
正常では尿中の排泄なし。
蛋白質・・・尿中に蛋白質が出ているかを見る項目。
正常では尿中排泄なしor少し排泄あり。
血糖・・・尿中に糖分が出ているかを見る項目。 正常では尿中の排泄なし。
?・・・尿が酸性かアルカリ性かを見る項目。
犬や猫では酸性域、ウサギやハムスターではアルカリ性域。
潜血・・・出血の有無を確認する項目。
まずウロビリノーゲンとビリルビンについてです。
このふたつは肝胆道系に問題があり、黄疸が出てくる前後で出てくる項目です。
ウロビリノーゲンは尿中に少しは排泄され、いわゆる尿の黄色の色の元です。
肝臓が正常ならばこのウロビリノーゲンは大部分がビリルビンに変換し胆汁へ、残りの一部がそのまま尿中へと排出されます。
しかし、肝臓が悪くなると変換が上手くいかなくなり、ウロビリノーゲンが大量に尿中に放出されるため、とても濃い尿が出るようになります。
またウロビリノーゲンは腸内で胆汁中のビリルビンが分解産物で体に再吸収されるものです。
胆汁の排泄が上手く行かなくなるような場合ではウロビリノーゲンは尿中に排泄されなくなります。
まとめるとウロビリノーゲンとビリルビンがたくさん出てくると黄疸の原因が肝臓や血管内で起こっているということ、一方でビリルビンだけたくさん出てきていると胆汁が上手く排泄できず詰まっていることがわかります。
次は血糖やケトン体についてです。
血糖が尿中に認められるということは糖尿病といった内分泌の問題や腎臓の機能に問題があることを示します。
また糖尿病といった内分泌の問題があると血液中の糖が使えなかったり、足りなくなったりするため、体の脂質(脂肪)が使われるようになります。
脂質を代謝(使う)過程でケトン体がたくさん作られるため、処理できない分は尿中に排泄されるため、糖尿病のひどい状態の時では現れてきます。
ちなみに糖尿病時の尿の甘酸っぱいにおいはこのケトン体に由来するものです。
残りの項目は比較的、腎臓や膀胱などの泌尿器に直接関わってくることの多い項目です。
まずは亜硝酸塩についてです。
動物は食物から得た硝酸塩を尿中にほとんど排出するのですが、細菌が増殖していると硝酸塩を亜硝酸塩に変えてしまいます(例外あり)。
そのため膀胱炎などの尿路感染があることがわかります。
次に?ですが、前々回お話しした中に出てきた尿石症で結晶ができやすい?域が存在します。
酸性域であればシュウ酸カルシウム、アルカリ性域であればストラバイトといった感じですね。
また細菌性膀胱炎の場合では細菌の増殖とともに?が上昇していくため、アルカリ性域に?はなってきます。
さて、尿中の蛋白質は通常であるとほとんど尿中には出てきません。
腎臓で尿を作る過程で大きな蛋白質は血液の中に残り、小さな蛋白質も腎臓で再吸収され血液に戻っていきます。
つまり、蛋白質が出てくると腎臓が悪くなってきているということがわかります。
また腎臓から出た尿が溜まる場所の膀胱に問題(膀胱炎や腫瘍など)で細胞がたくさん尿中に出てくると蛋白質として出てきます。
最後に潜血ですが、激しい血尿の場合、見た目だけでも出血していることはわかりますが、尿の色は濃い色だけども実際に顕微鏡レベルでは出血があるという場合にこの項目が役立ちます。
出血の原因は膀胱炎や腫瘍、交通事故による腎臓の損傷などが挙げられます。
ここまでが尿試験紙による検査でした。
尿試験紙だけでは細菌性膀胱炎や尿石症かなというあたりをつけることはできますが、本当にそれが正しいのかは断定できません。
そのため実際に顕微鏡で尿を確認していきます。
これは細菌性膀胱炎の尿の顕微鏡写真ですが、白血球や赤血球、少しサイズの大きい細胞だと膀胱の粘膜の細胞になってきます。
また、写真上では少し見にくいかもしれませんが、砂粒くらいの小さな点が細菌で、リアルタイムで顕微鏡をのぞくとさわさわと揺れ動く様子がみることができます。
以上のように尿の検査は尿試験紙と顕微鏡での所見を合わせて判断していきます。
それでは今回はこれで終わります。
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