こんにちは、獣医師の苅谷です。
この数日、気温が25度を超えることもあり、4月とはいえ、少し暑くなってきましたね。
そろそろ衣替えをしていかないといけませんね。
今回は麻酔前投与薬についてお話しします。
前回は麻酔についてお話しし、手術では必要不可欠ですが、一つ間違えるとそのまま目が覚めなくなってしまうというものでした。
そこで麻酔の役割を麻酔薬単独で行うのではなく、その役割を分散させる目的で麻酔前投与薬を使用します。
その分散させる役割は
1.痛みの軽減
2.精神の安定化
3.自律神経の有害反射の抑制
この3つです。
1の痛みの軽減には鎮痛剤を使用します。
痛みによっておこる有害な自律神経の反射を抑え、痛みによる苦痛を軽減します。
2の精神の安定化には鎮静薬を使用します。
手術前の不安や緊張、恐怖感は体の代謝、つまり生命活動が活発になり、麻酔薬への抵抗性が高まってしまうため、より多くの麻酔薬量を必要とします。
麻酔薬量の増加はそれだけその危険性が増すため、精神を落ち着かせることにより、少ない麻酔薬量で手術に臨むことができます。
3の自律神経の有害反射の抑制では自律神経の中の副交感神経を抑制する薬を使います。
これにより有害反射である心臓の徐脈や消化管の運動の亢進、唾液の分泌といったことを抑制します。
これらの薬で麻酔薬一人で担っていた役割を分散させることで、使用量を減らし、より安全な麻酔、手術が行えます。
また鎮静薬の中にはその効果を打ち消す拮抗薬というものも存在し、手術後に拮抗薬を投与するとより早く目を覚ます様に促すこともできます。
この麻酔前投与薬も薬であるため、麻酔薬と同様にその動物によって(年齢や状態、基礎疾患があるか)、使用する量を考えていかないといけません。
やはり薬は一つ使い方を間違ってしまいと毒になってしまいますからね。
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