こんにちは、獣医師の苅谷です。
もういつの間にか花粉が舞う季節になってきました。
まだまだ肌寒く感じますが、花粉症だとかなりつらいですね。
私も花粉症なので、外出時にはマスクをつけることが欠かせないですね。
今回は医療に用いられている放射線についてお話しします。
まず放射線とは高エネルギーで短い波長の電磁波や高速で動く粒子のことで、いわゆる光の仲間です。
物質を通り抜けることができ、その際に影響を与えます。
さて、放射線はどのような場面で使っているのでしょうか?
まず私たちが一番よく使っているのはレントゲン撮影です。
これは放射線‐X線の物質を通過する性質を利用しており、体重や部位によってその強さを若干変えています。
骨や金属、厚みのある臓器はX線が通過しにくいため、レントゲン写真では白く映ります。
一方、空気(ガスなど)といったものはX線がほぼ通過するため、レントゲン写真では黒く映ります。
レントゲン写真ではこの白黒のコントラストから臓器の輪郭や大きさなどを読み取っていきます。
またCT撮影も同様の性質を利用しており、こちらは360度、全方向からX線を照射し、そのデータをまとめることにより立体的に臓器などの構造をよみとることができます。
次は放射線による器具の滅菌です。
熱に弱く、高圧蒸気滅菌の行えないプラスチック製品、注射器や手術用グローブなどに使用されます。
また医療とは関係ありませんが、同様の方法でジャガイモの芽の発芽を抑えることにも放射線は使用されています。
最後に〜癌といった悪性腫瘍に対して使用する放射線療法についてです。
最初に少し触れましたが、放射線は高エネルギーの光、つまりとても力を持った光です。
これが生きている細胞に当たるとその細胞の遺伝子情報に障害を与えて、細胞の死に導きます。
ただ正常な細胞と癌細胞のどちらにも同じ結果を導きますが、正常細胞と比較して、癌細胞は生命活動が活発です。
そのため、遺伝子情報の複製回数が多く、放射線による障害を受ける回数も増えるため、この治療が用いられます。
このようにいろいろと放射線の利用についてお話してきましたが、放射線いえばついて回る問題として被ばくというものがあります。
医療における被ばくはその正常な細胞に障害を与えない範囲を考慮して行われています。
放射線を受けてその障害が蓄積されているんではないかと心配されるかと思います。
放射線自体は体には蓄積されません。(放射能をもつ物質を取り込んだ場合は異なります。)
仮に細胞は遺伝子に障害を受けてもある一定の範囲ならば、元通りに回復する力を持っています。
短期間に許容範囲外の放射線を浴びてしまった場合は、この細胞の回復は追い付かず、体に色々な症状が出てきます。
放射線療法で使用するものはぎりぎりのラインで使用していることもあって、症状に出てくることもありますが、レントゲン撮影では短期間に数100枚撮影しなければまず体に異常が起こることはありません。
現在原発問題で色々と話題となっている放射線も実は身近なところで私たちの役に立っています。
原子力発電がよいか悪いかは私ははっきりとは言えませんが、放射線も上手く利用できれば、生活に役立つことを憶えておいてください。
ちなみに体に効くといわれる温泉の中には放射能を持つ物質が含まれるところもありますね。
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